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篠原宣義 ∞ ミュージシャンの極意

プロフィール

篠原宣義

シンガーソングライター

1978年12月19日生まれ。栃木県宇都宮市出身。

1998年The Psychological Momentメインボーカル「棟方諒」として音楽活動を始め、2005年7月メジャーデビュー。
2009年脱退。
 
2009年11月1日本名「篠原宣義」で、1stシングル『ADAM to EVE』発売。
2010年3月21日2ndシングル『Step』発売。
2011年1月23日3rdシングル『NANAIRO』発売。
2011年7月7日4thシングル『Innocent Smile』発売。
*3作連続で、とちぎテレビ「とちぎ発!旅好き!」エンディングテーマ曲!
2012年6月17日5thシングル『キオクノトビラ』発売。
*TBSラジオ「あなたへのモーニングコール」PICK UPインディーズに『キオクノトビラ』が、第400回オンエア楽曲となる!
2013年7月7日1st Mini ALBUM 『HOME』発売。
*『Eternal Wings(アルバム6曲目)』がとちぎテレビ「とちぎ発!旅好き!」エンディングテーマ曲!
2014年7月26日6thシングル『雷様剣士ダイジ 蒼のLEGEND / FuriFuri』発売。
*とちぎテレビ「雷様剣士ダイジ」第一期オープニングテーマ曲!
2015年10月4日Compilation album『Premium Best 2016』参加 *6曲目『道標』
2016年3月21日7th Single『GROWING UP』発売。
*とちぎテレビ「雷様剣士ダイジ」第二期オープニングテーマ曲!

2017年12月24日に8th Single『永遠』発売。
2021年7月7日に2nd Mini ALBUM 『シンガー』発売。

篠原宣義Official Websiteより引用

〈はじめに〉3年半の時を経て、篠原宣義が2nd mini album「シンガー」をリリースする。リリースの度に常に深くなっていく世界観と高い歌唱力に魅せられるファンも多く“待望”の新譜リリースと言えるだろう。「このCDのリリースは、ある人との約束でした。」と、今作についてのエピソードから、篠原宣義の歌手としてのアイデンティティまでを真摯に語ってくれた。

2021年7月7日発売 2nd mini album「シンガー」

戦友を励ますために書いた曲が1曲目に収録されている
「ナミダウタ」なんです。

今回の作品のリリースについてのエピソードを教えてください。

僕はソロデビューをして今年で12年目になるんですが、共に音楽をつくってきた戦友がいたんです。
その戦友を励ますために書いた曲が1曲目に収録されている「ナミダウタ」なんですよね。

この曲をリリースするのが、その人との約束だった。
それを果たせる日がやっと来たという気持ちです。

この数年の間で僕が音楽制作をしていた環境が大きく変わったんですよ。リリースしていなかったこの期間、本当に色んなことを考えました。

そんな中、今回のリリースは改めて新しい挑戦というか。
篠原宣義の新しいフェーズに入ったなと実感することもあり、今作は再会した仲間と改めてチームを組んで一緒に制作にあたりました。

制作期間は、今までで一番長かったですね。でも悪いことじゃなくて、だからこそ叶えられた事がありました。

コロナ禍での制作だったと思いますが、大変だったことはありましたか。

そうですね。皆さんそうだったと思いますが、やはり今まで通りとはいかないわけで。
制作期間は、今までで一番長かったですね。
でも悪いことじゃなくて、だからこそ叶えられた事がありました。

普段通りの制作期間では細かく詰めきれないところにも、今回はより目を向けることが出来たし、一緒に制作している仲間と話し合う時間がたくさん持てたりして、逆にありがたかったな。と思っています。

出来上がっていく曲を確認したり、作品に想いを募らせていく中で「そうだ!今回あと2曲追加しよう!」って思えたのも、やっぱりそういった時間があったからですね。

元々は3曲入りのシングルで出す予定だったんです。

どうして「桜並木の花咲く頃に」「蛍」を追加することに?

この2曲は、ライブで長い間披露してきた曲で、ソロ篠原宣義として始まる前の時代からの楽曲なんです。ファンの方もこの2曲を本当に愛してくださっているのを感じます。

コロナ禍で、直接ファンの方にお会いして歌うということが制限されてしまっているからこそ、みんなが喜んでくれることは何かな?と考えました。

そして僕にとっても、とても大切な曲なので、今回この2曲をセルフカバーすることにしたんです。出来るだけシンプルなアレンジで、言葉ひとつひとつ、音ひとつひとつ。しっかり届けられるように大事にレコーディングしました。

自分の歌を誰かに歌ってもらえることって凄くないですか。

今回はカラオケも収録されているんですよね。

僕自身が、買ったCDにカラオケ入っていてほしい。って思う人だからっていうのもあるんですが、

僕はボイストレーナーでもあるので、生徒さんがアーティストさんの曲を歌っている一生懸命な姿を目の前で見るんですよね。みんな本当に大事に歌っている。そういう姿をみていると、自分が歌手の立場で考えた時に、誰かに自分の歌を歌ってもらえることってすごいことだよな、と思うんです。

車の中でも良いし、家の中でも良いし、カラオケを使って僕の歌を歌ってくれたらすごく嬉しい!みんなに沢山歌ってほしいですね!

▶︎篠原宣義Official Twitter

「これが篠原宣義です!」と言える
 名刺のような作品ができました。

どんな人に届いてほしいですか?

コロナ禍で大きく時代が変化する中で、仕事でもプライベートでも、上手くいかなくなってしまった方って僕だけじゃないと思うんですよ。

心が疲れちゃったな、とか生きるってなんだろう、とか。そんな風に今感じている人たちにも寄り添える作品にしたかった。応援歌というよりは、寄り添える作品に。

リリースのタイミングに関してもすごく悩んだんですが、今だな。と思いました。
今届くべき人にちゃんと届いてほしい。だから、色んな社会的状況はあるにせよ、そんな中でもリリースに踏み切りました。

それから、僕自身が以前ヒーローソングを歌わせていただいていた事もあって、その番組を通じて僕のことを知ってくれた方たちにも、改めて「歌手・篠原宣義」として、今作を聴いてもらいたいな。と思っています。

その中でも一番大切にしたのはやっぱり「歌詞」で。もちろん言葉という意味でもそうなんですけど、CDのブックレットに載せる文字の表記も漢字や平仮名、スペースひとつ大切にして、

これまでの僕を知っている人にも、これから出会うであろう人にも「これが篠原宣義です!」と言える名刺のような作品ができたと思っています。

▶︎篠原宣義Official Twitter

中学校の時に、父親が「良いジーパン買ってやるよ」って言ってくれた時があって。それで僕「ジーパンじゃなくてギター買って」って答えたんです(笑)

今回のタイトルでもある「シンガー」
篠原さんが歌手を志したのはいつ頃ですか?

僕には、歌も好きだし、人前で歌うことも好きだったおばあちゃんがいました。
小さな頃ずっと僕はそのおばあちゃんの横で歌う姿を見ていて、いつの間にか歌を覚えた。3歳の頃、「矢切の渡し」と言う曲を覚えて歌ってました(笑)

その頃すでに歌手になりたいと思っていたんですよ。おばあちゃんの影響が大きかったのかな。それからずっとその想いはブレたことがありません。

小学校の頃に、凄く良い先生に出会って、その時に小学校の先生になるのも良いなぁと思ったりしていた時期もあったんですが、ずっと歌手になりたいと思ってました。あとちょっとなりたかったのは焼き芋屋さん(笑)

小学校に上がっても、特段勉強ができるわけでもない、運動ができるわけでもない、言いたいこともはっきり言えない!という少年でした。

そんな僕が、唯一褒められることが“歌を歌うこと”だったんですよね。逆にいうと、これだけしか褒められることがなかったんですが(笑)

本格的にシンガーソングライターとして活動し始めたのは?

中学校の時に、父親が「良いジーパン買ってやるよ」って言ってくれた時があって。それで僕「ジーパンじゃなくてギター買って」って答えたんです(笑)

それが12歳の時ですね。想いは沢山あったんだけど、なかなか言葉にできない内気な少年でしたから(笑)
今考えるとチューニングもあまりわかっていなかったと思うんだけど、ギターを持って半年くらいで、普段はなかなか出せない想いを集めて曲を作っていました。
その時の曲、きっと部屋を探すとどこからか歌詞が出てくると思います。

あとね、当時付き合っていた女の子と歌詞の交換日記をしてた!

例えば、チャゲ&飛鳥の「SAY YES」の歌詞を自分なりに書き換えるとどうか。みたいな(笑)作詞家の勉強みたいな事をその当時から好きでやっていましたね。

女の子からはラブソングの歌詞が来るんだけど、僕はペルシャ湾の重油の話とか、世の中間違ってる。みたいな歌詞で返してて、今では微笑ましい思い出です(笑)

初めてステージに立ったのは高校生の時。オリジナル曲をレコーディングして、「シンガーソングライターとしてやっていくぜー!」って想いが定まったのはこの頃ですね。

「君はもっともっとうまくなれるのにね。」って一言。僕の歌手としての価値観が大きく変わった瞬間でした。

その日から何百本のステージを踏まれていると思いますが、その中でも印象深いものはありますか。

昔、二人組の男性ユニットをやっていたんですが、その時代にソロでライブをしたことがあるんですよね。

その時に、僕が冒頭でお話しした”戦友”。後のプロデューサーが観に来てくれていて、「君はもっともっとうまくなれるのにね。」って一言。僕の歌手としての価値観が大きく変わった瞬間でした。

その後ユニットを脱退して、ソロ名義で活動することになるんですけど、その時のライブで言われたその一言の印象がすごく強くて、
ソロになってから自然とその人にお世話になることになりました。僕をここまで導いてくれたプロデューサーとの出会いです。

だから、心に残っているライブは沢山あるんだけど、その時のライブは僕の中でまた違った特別なものとなりました。

それからもうひとつ。特別だったのは10周年の記念ライブかな。その時の一番最後のアンコールで、今回リリースする「ナミダウタ」を歌ったんです。

「この曲でCDを出すことを約束します!」ってファンの皆さんとも約束をしました。それが今回果たせるのは、本当に心から嬉しいです。

▶︎篠原宣義Official Facebook

“1曲1曲、真心を込めて歌っていける本物の歌い手であってください。”

最後に、篠原さんが普段から特に大切にしている事を教えてください。

「1曲1曲、真心を込めて歌っていける本物の歌い手であってください。」

これが僕を育ててくれたプロデューサーの想いであり、僕自身も、自分が想い描く“本物の歌い手”に近づけるようにこれからもずっと歌い続けていきたいと思っています。

そのために1曲1曲心を込めて歌いつつ、
ステージを作り上げる努力を惜しまず。丁寧に。
応援してくださっている方、必要としてくださっている方に届けて行きたいなと思います。

歌手として。本物とは何か。自分に問いかけながら、丁寧に一つひとつの歌に命を吹き込める「シンガー」でありたいと心から思っています。

〈おわりに〉大きく新たな一歩を踏み出した、歌手・篠原宣義。インタビューにあたる中、一貫した歌へのこだわり、そして痛みにまで寄り添おうとする人間らしさが、彼の歌手としてのオーラをより輝かせているのだと感じた。今作「シンガー」を通じて、より多くの人の心に届くことを願う。

取材:Noriko Shimada