Good Communication Japanが運営する
音楽を楽しく学ぶ人のためのwebマガジン

鈴木友海 ∞ ミュージシャンの極意

プロフィール

鈴木友海

アーティスト
シンガーソングライター
女流し

9月生まれ 愛知県岡崎市出身
大阪芸術大学音楽学科 卒業

幼少から始めたアコースティックギターで中学生の頃から楽曲制作を始める。様々なコンテストでグランプリを取り、 2012年より本格的に東京を中心にライブ活動&作曲活動を開始。

また、「女流し 結海 (ゆうみ)」として2016年から恵比寿横丁で流しを始め、今までに無い流しスタイルで次世代流しとして注目を集める。

400曲以上のレパートリーを持ち、現在は恵比寿横丁、新丸ビル、各地方で1本のギターと生歌でたくさんの人を笑顔を届けている。

〈はじめに〉アーティストとして、女流しとして。スタイルにこだわることなく表現し続ける鈴木友海さんに、人生観や転機となった出会いについて伺いました。

楽譜通りに弾くことがつまらなくなってしまって、すぐにオリジナルを歌い始めました。

抜群の歌唱力をお持ちですが、小さな頃から音楽に触れて育ったのですか?

幼い頃からクラシックピアノを習っていたんですけど、実は当時、楽譜通りに弾かなきゃいけないのが凄くつまらなく感じてしまって、ピアノ教室を辞めているんです(笑)中学くらいから違う楽器をやりたいなと思ってクラシックギターに。

でも、ギターも、初めは誰かの曲から練習って始まると思うんですけど、それがやっぱりまたつまらなくなってきちゃって(笑)
また音符読まなきゃいけなくてすぐやめて、私はアコギがいいんだ!みたいな感じで今のスタイルの源。アコースティックギターを手にとりました。

楽譜通りにやるのが、とにかくつまらなかった(笑)

だから、アコースティックギターを初めてすぐにオリジナル曲を作り始めました。

歌は中学からボーカルスクールに通っていて、高校生の時にもっといろんなところで歌いたいなと思って、1年間で弾き語りで110本くらいライブをしていました。

オリジナル曲しか当時は歌ってなかったですね。今は割と明るい印象かもしれないんですけど、その頃は暗い曲が多かったです。

え!昔は暗かったんですか!?

今は割とオープンな印象があると思うんですけど、子供のころは全然違って
凄く物怖じしてしまう性格で、とにかく恥ずかしがっちゃうタイプで・・・

自分の意見を言うのが凄く苦手な人だったんですよ。

授業でも手を挙げれなかったし・・・でも、曲にしたら言える。と思ったんです。色々考えていても、どうしても言葉にできない。でも自分はこう思ってるんだよって言うのを表現したかったんですよね。

その時にはもうすでにずっとギター持ってたので、歌詞にしちゃえば、それを歌えば伝わるだろうと思って歌を作り出したというのがオリジナル曲を作り始めた最初の理由です。

みんなにはコンテスト荒らししてたねって言われるくらい賞をもらっていたんですよ。そこから自信がついてきたんだと思います。

高校生でライブ年間110本は凄いですね!もしかしてご両親もミュージシャンとか?

それが全然違うんですよ。両親はめちゃくちゃ頭が良くて、私もその遺伝子を受け継いで頭が良いかと思ったんですけど、きっと両親も予想もしなかった方向に行きました(笑)

しっかりした学校に入って欲しかったと思います。初めは。

高校生でいっぱいライブをして、いっぱいコンテスト出たんです。当時は10代でギター弾き語りの女性って少なくて、しかもオリジナルソングも沢山作っていたので、珍しかったのかな。

みんなにはコンテスト荒らししてたねって言われるくらい賞を頂いていたんですよね。そこから自信がついたんだと思います。意見をなかなか言えなかった自分が、少しずつ変わってきて

自分の歌で自分の道を切り開いていってる。という実感がすごくありました。

▶︎鈴木友海Official Website

“人がやっていないことをやってみたい”といつも思っています。

“女流し”としてもすごくご活躍ですね。

はい。※流しを初めて、5年くらい経ちます。初めはまず1ヶ月やってみよう!ってスタートしたんですが、やり始めたら色々な方と出会いもあるし、直接笑顔がみれるのですっごく楽しくて。

毎月300枚名刺を作って、絶対300人には渡そうと決めてやっていて、一日20曲は最低でも歌います。多い時は2.3時間で60曲とか(笑)

流しをやり始めたのって、歌って稼ぎたいわけじゃなくて、歌を通じて色んな方と出会いたかったからなんです。中には私の価値観を変えてくれた出会いもありました。

例えば、2.3年前におやつカンパニーテーマパークの曲をつくらせていただいたんですけど、そのプロデューサーさんとは流しをやっているときに恵比寿横丁で出会いました。

「僕バンドやってるから歌いに来てよ」って言われて

後日リハーサルスタジオに行って、バンドで音楽をするようになったんです。
ただの音楽好きの面白い方かと思っていたら、
その方が突然こんなことを仰ったんです。「今度、テーマパーク創るんだ。子供も大人も面白くなるような場所にしたい。」と。

その時に構想を熱く語ってくださって・・すごく大きな規模でいろんな角度から考えられているのにとても感動しました。

それと同時に、大先輩がそんな風に話されているのをみて、私まだ全然若いんだから、もっともっとやらなきゃダメだなと思ったんです。

そして、その方がすごく情熱的に自分の想いを語っている姿を見て、私も自分をもっと出して行っていいんだ!って思って。怖がらなくていいんだ、馬鹿なこと言ってるな!って言われるくらいのことでも言っちゃっていいんだ!と。そんな風に改めて思い直すことが出来ました。

その方は出会えてよかったなと思っている方の一人です。

流し(ながし)は、ギター、アコーディオンなどの楽器を持って酒場などを回り、お客のリクエストに応えて歌の伴奏をしたり、ときにはリクエストになど答えて自らの歌を歌う人のこと。

素晴らしい出会いを沢山経験されているんですね。長時間の歌唱で喉には負担もかなりかかるんじゃないかと思いますが、特別なケアはされていますか?

実は、ここぞと言う時にいつも扁桃腺が腫れてしまう人で・・・一番酷かったのは大学時代。声がかすれちゃったりしていて本当に大変でした。

ここ2.3年くらいは扁桃腺も腫れることがなくなっています。

体のメンテナンスは10日に1回くらい行ってますね。体がガチガチになっちゃうと歌えなくなってしまうので酸素カプセルに行ったりとか。喉の病院は月1で何もなくても検診に行きます。あとは、1日に3回生姜紅茶を飲んでいます。

出来るだけストレスを溜めないように自宅でオイルマッサージをしたり、基礎体力をつけるために仕事と仕事の合間にキックボクシングに行ったり。

それが気分転換ですね。

それから、ワクワクすることをずっと考えてる(笑)人がやっていないことをやってみたいといつも思っていて、それがエネルギーの源にもなっています。

大学生くらいの時に、ある人に「色んなところに種まいておくといいよ!」って言われたんですよ。たくさん撒いておくことで、その中の何個かは目が出てくるからと言われて。その時の言葉、すごく覚えてるんです。

高校生の時はずっと自分の曲しか歌ってなかったんですけど、大学生になっていろんな勉強して、いろんな音楽を聴くようになって。Jazzをやってみたり、歌謡曲のバーで歌ったり、本当にいろんなことをやったんですよね。

その頃、その言葉をちょうど頂いた時で、種撒きしている感覚をいつも持つようにしていましたし、種を撒く時にワクワクするような面白いことを考えながらそれも一緒に撒きました(笑)

2019年のカラオケバトル優勝もそういった種蒔きが開花した結果ですね!

▶︎鈴木友海Official Website

そうかもしれません。テレビ東京系列「THE☆カラオケバトル」での優勝は2019年のことなんですが、フリーランスになったその10月にオファーが来たんです。

そして出たら優勝してしてしまった・・・(笑)

でも、その時すごく悔しい思いをしました。これがもう一つの私の転機かもしれません。

その時出演されてた方は、私以外、全員大手の事務所に入っている方ばかりで「ブレイク直前特集」みたいな感じで・・・

もう売り出されている人たちばかりだったんです。ここから更にブレイクするんだろうなというような。

そんな中、私だけ一人ポツンと会場入りして・・・

もちろん皆さんはマネージャーさんが付き添われていたんですが、本来マネージャーさんが座る席に、私一人で座っていました。寂しかったなぁ。

その上、その時私、流ししかしていなくて。他の皆さんはきちんとレッスンを受けられている方たちばかりでした。

そこで自分の歌の雑さをすごく感じたんですよね。

あぁ、私このままじゃダメだ。歌い手として良くないな。って、デビューされている方たちとの差を痛感しました。

もう本当にそれがすっごく悔しくて。そこからレッスンと練習に明け暮れました。流しは別物だと自分で割り切って、とにかく練習しました。もちろん今でもしています。

流しの感覚とは違ったわけですね?

全然違いましたね。優勝はしたものの、自分の中ですごく悔しさが残って、“自分の歌”を見つめ直すきっかけになったことは確かです。

流しって歌はもちろん歌っているんですけど、パフォーマーだと思っているんですよ。

歌を歌っているだけじゃなくてその前後があって、お客さんとの会話があって、そのお客さんが何を求めているかってところから入って行って、曲になり、ラストの締めがあるっていう。

歌を歌っているだけではない。これはパフォーマーだ。私はそう思っています。

“アーティスト”というものとはやっぱり違うと思うんです。流しは流しとしてお客さんの笑顔につながるパフォーマンスを。私のアーティストとしての表現では、その時とはまた違った一面を見せられるといいなと思っています。

人生かけて、みんなを元気にさせれことができる存在に。人としてそういう風になりたい。

自分の一生かけて成し遂げたいことがあって。人生をかけて、みんなを元気にすることができる存在に、人としてそういう風になりたいんです。

その為に自分が使えるツールが歌と音楽であって、歌と音楽だったらスタイルに拘らず、自分が表現できるものはなんでもやりたい!

パフォーマーとしてでもいいし、曲だけでもいいし、アーティストとして歌うっていうのも一つだし。

そんなことを思う中、私が特に大切にしていることは

常識に縛られない!

常に前を向いて楽しむ気持ちを忘れない!

感謝の気持ちを忘れない!

この3つですね!

コロナ禍になってより強く「音楽の力」を感じるようになったし、あとは子供たちに音楽を教えていく中で(※ http://ladybirdmusiclab.com/)音楽って本当に人をハッピーにさせる力しかないなって実感することが増えました。

何かしら日常に彩りを添えてくれるものだと。

自分が歌ったり音楽を作ることで、たくさんの人に笑顔になってもらったり、ハッピーになってもらえたらいいなと今すごく思っています!

〈おわりに〉偶然そこに居合わせた人でさえも、あっという間に歌の世界に引き込んでいく友海さん。努力を続ける事で、益々その才能が錬磨されていると感じます。一つひとつの経験を糧に、日々進化しようと邁進する姿は、これからもより聴く人々の笑顔を引き出し、輝かせ続けるでしょう。

取材:Noriko Shimada