たくみ先生、今日はどんなことを教えてくれるんですか?
今日は、第一声でゾワっとさせる歌の習得方法、倍音について解説するね!!
について
いつも上手い人の歌を聴いていると、、、
・圧倒的に何かが違うと感じる
・第一声で鳥肌が立つ
・ゾワゾワしてくる
・めちゃくちゃ感動する
・その人の歌に惹き込まれる
誰もが一度はそんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。一体何がそうさせているのでしょうか。
その謎について掘り下げていきたいと思います!!
まずそれを語る上で大切になってくるのが、「倍音」という言葉です。
倍音は様々な楽器や音に含まれており、声の場合、その成分が多ければ多いほど響きの豊かな発声であると言われています。
他にも様々な要素がありますが、順を追って解説していきます。
まず音というのは、振動が空気に伝わって耳に届くものだということは皆さんご存知だと思います。この「振動数」が多いほど高い音になり、少ないほど低い音になります。 そして、1秒間に空気が振動する数を「周波数」といいます。
具体例を挙げると、 男性の声よりも女性の声の方が空気をたくさん振動させている=周波数が高いですし ベースよりもギター、コントラバスよりもバイオリン。 それらの楽器の方が空気をたくさん振動させている=周波数が高いといえます。
次に「基音」という言葉をご存知でしょうか。
英語では “Fundamental tone” と呼ばれており、基準の音、基本となる音という意味です。 楽器の弦や管などの発音体の固有振動のうち、振動数の最も少ない基本振動によって生じる音。音の高さは、その基音で決まります。
簡潔にまとめると、最も低い周波数の音ということになります。
まずは、ピアノの中央より少し右にある「ラ」の音をイメージしてみるとわかりやすいかもしれません。
この赤丸の「ラ」の音を鳴らすと、1秒間に440回、空気が振動します。もの物凄いスピードですよね。 440回振動 = 周波数は440Hz(ヘルツ)ということになります。
でも実は、音を鳴らした時には、微かに違う音も同時に鳴っているんです。
例えば、下記の写真のように右側にある高い「ラ」の音も鳴っています。
この高い「ラ」の周波数は低い「ラ」の2倍で、880Hz 第2倍音(1オクターブ上)となります。※その上は4倍の1760Hz (第2倍音 2オクターブ上)です。
もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、これが、倍音の正体です。
倍音とは音響学の用語で、「基音の整数倍の周波数を持つ上音」を指します。
※基音より上にある周波数成分はすべて「上音」(じょうおん) と呼ばれます。
一般的に、倍音が多くなると、輪郭がはっきりした、明るい音色になります。
楽器でいうとトランペットなどの金管楽器、オーボエなどの楽器、クラッシュシンバルなどが、倍音を多く含む楽器としてあげられます。
トランペットやオーボエなどは特に「整数次倍音」を多く含んでおり、非常に抜けの良い聞き心地の良い音が特徴です。
※整数次倍音・・・基音の振動数に対して整数倍の周波数を持つ音。
一方でクラッシュシンバルなどは「非整数次倍音」が多く含まれているので、キンキンした音が鳴ります。どの音程で鳴っているかわかりにくいのも、 倍音が多すぎるためです。
※非整数次倍音・・・倍音に相当しないノイズ的成分。
・空気漏れのような音
・ささやき声
・しゃがれ声
・ハスキーボイス
・喉を潰したような濁声
・ザラザラした声
一方で、倍音が少なくなると柔らかく、輪郭のはっきりしない音色になります。
楽器でいうとフルートやリコーダーがあげられます。 ふわっとした優しい音色が印象的な楽器ですよね。また、もっと極端な例をあげると、テレビの時報やチューナーの音などは倍音が含まれていません。音程を取りやすい反面、非常な単調な響きとなっていますよね。
もちろん、同じ楽器の種類でも一つ一つの個体によって倍音の量は変わりますし、演奏方法でも変わります。同じピアノで同じ曲を弾いているのに、演奏者によって表情が違うのはそういうところが理由でもあります。
人の声も、発する人や喉の調子によって倍音が変わり、同じ声であっても全く異なる印象を与えることができます。そのために必要なトレーニングの一つとして、「息と声の結びつき」そして「共鳴感」が大切です。
【初級編】
1.まずは息を短く吐くところからスタートしてみましょう
→ 「はっ! はっ! 」
※声帯開きすぎて息が抜けてしまう、お腹に力が入らない、そのような方は2.からスタートしてみましょう。
2-1. 人差し指をロウソクの火に見立てて一気に吹き消す
→ 「ふぅー!!」
2-2. A4用紙を用意して、息で揺らす
→ 「ふぅー!!」
3.「し」の発音で息を吐く。(静かにして!の時のイメージです)
→ 「しーー!!」
※このように実際に人差し指を立てながら息を吐くとより効果的です。
4.「はっ!」を実声にする
→ 「はっ!! はっ!!」 (短く、鋭く)
※まずは一番鳴らしやすい言葉や音の高さで挑戦してみてください
【応用編】
5.声を伸ばしながら、徐々に大きくしていく。
→「ぁぁぁぁああああああああああああああああああ」
・いきなり大きな声でやろうとせず、喉に負担のない、自分の出しやすい音の高さで少しずつ発声しましょう。
いつでも響きの豊かな声を発声することができる
スタッカート時の声にアタックやエッジがしっかりと感じられる
どの言葉に変換しても変わらず発声できる
どのような高さにも柔軟に対応できる
曲の中でも自在に操ることができる
慣れないうちは思うように声が出せなかったり、息が抜けてしまったりするので、ただがむしゃらにやるのではなく、一回一回の精度を高めながら練習に取り組んでみてください。また、適度に水分補給や休憩しながら行うことをオススメします。
今回は第一声でゾワっとさせる歌の習得方法や倍音についての解説をさせていただきました。
ただ勢いよく声を出すだけではなく、倍音や共鳴感を意識できるようになれば、歌の表現の幅がグッと広がり、聴いている人達を振り向かせられるような声が出せるようになると思います。
ジャンルによって様々なスタイルがありますので、ご自分の好きな歌のジャンルで使いこなせるように練習をしてみてくださいね!