塚原久仁子(つかはら くにこ)さん、めいちゃん
普段は事務パートとして働き、中学校1年生の息子と小学校3年生の娘を育てながら、AKIRA歌のれん分けグループ「もんとにほ~」の「くーにゃん」、ネアリカアーティスト&ネアリカ講師、ストーリーテラー、キラキラコーディネーターと、4つの活動を行う。
2019年5月に「不登校でも大丈夫!音楽を通して『本当に大切なこと』を伝えるイベント」を主催。
様々な活動をされていますが、歌の活動としては現在どのような活動をされているのでしょうか?
2016年に、AKIRAさんの歌の「のれん分けプロジェクト」をきっかけにユニット「もんとにほ~」を結成して、手話を取り入れたステージで栃木県を中心にライブイベントを開催しています。
また、「不登校でも大丈夫!音楽を通して『本当に大切なこと』を伝えるイベント」の開催に向け、クラウドファンディングを実施しました。
おかげさまで目標金額を達成し、5月に開催予定です。
そもそも、歌の活動を始めようと思われたのは、どういったことがきっかけだったのでしょうか。
まず、栃木県日光在住アーティストの、AKIRAさんとの出会いに感銘を受けたのが始まりです。
AKIRAさんは、ミュージシャンのほかに画家、作家という顔も持っています。
現在は、音楽活動がメインとなっていますが、今後は、画家や作家としての活動に重きを置いていくそうです。
そのなかで、魂の歌と言われるAKIRAさんの歌を、より多くの人に聴いてもらいたいというご本人の希望により、2016年に著作権フリーで「AKIRA歌のれん分けプロジェクト」というのが始まりました。
そのプロジェクトに参加する形で、意気投合したメンバーとユニットを結成したんです。
私はこれまでAKIRAさんのライブに通い、イベントの主催もしていましたが、ユニットの結成をきっかけに、主催する側からステージに立つ側として、挑戦が始まりました。
その時は、音楽経験もなかったのですが、やりたい!という思いが強く、活動を決めたんです。
メンバーは、代表のまりぽん、娘、夫、私、息子です。
息子は、ステージに立ってはいませんが、音響や写真・動画の撮影を行ってくれています。
娘は、4歳から6歳まで、島田先生がプロデュースしていた「パールキッズ」に所属していました。
しかし活動が終了し、偶然にも同時期に「もんとにほ~」を結成したので、今はそこで歌を続けています。
島田先生には、現在もお世話になっており、月に一度レッスンへ通っています。
発声の練習ももちろんありますが、時にはライブの映像を見ながら、反省会をすることもあります。
始めは、「間違えたらいけない」という思いから、ステージで表情が強張って、真剣な表情のままの娘でした。
しかし、最近は、笑顔でパフォーマンスが出来るようになり、メインで歌うことや、MCも任せられるようになりました。
「もんとにほ~」の活動以外でもイベントを主催されるということですが、5月に開催予定の「不登校でも大丈夫!音楽を通して『本当に大切なこと』を伝えるイベント」はどういった経緯で開催を企画されたのですか?
「もんとにほ~」の活動を始めて、2年半ぐらい経った頃です。
息子が中学生になり、1ヵ月ぐらいして、学校に行かなくなりました。
最初は原因を探って、解決することに全力を注ぎ、無理やり行かせたこともありましたが、そうすることにより、どんどん家庭環境が悪くなっていきました。
本人も、なぜ学校にいけないのか、自分でも原因がわからず、一番つらい思いをしていたと思います。
そこで私は、これまでのAKIRAさんとの出会いや、様々な活動を通して得た、「ひとりひとりの存在自体が大切なのだ」という原点に返ることにしたんです。
学校は大切だけど、学校に通うことが、すべてではありません。
それから、「行けないんだったら、まあそれでもいいじゃん」と、親としての気持ちを切り替えるようになりました。
おかげで今では、息子も明るい不登校になり(笑)、最近は受けられる授業に少しずつ、参加できるようにもなりました。
しかし、世の中の人はみんなそんな風に考える人ばかりではなく、将来が心配だと悩んでる方も世の中にたくさんいます。
不登校で悩んだ挙句に、親が子供を殺してしまう、悲しい事件もありました。
そういう話を聞くと、その時まわりに
「だーいじょうぶだよ!行かなくったって!」
と言ってくれる人が、もし近くにいたらどれだけ心強いだろう。と思ったのがきっかけです。
私は音楽をやっていて、音楽に助けられたから、音楽を通して「だいじょうぶだよ、学校に行くことより、もっと大切なことがあるんだよ。」ということを伝えるイベントを企画しました。
その意思に賛同してくれる方が集まって助けてくれ、5月に開催が決定したのです。
開催に向けた資金を得る手段として、クラウドファンディングという方法を選択されました。普段あまり投資する機会のない方にとっては、ハードルが高いというか、躊躇する部分もあるのではないでしょうか。今回、クラウドファンディングに決めた理由は何だったのでしょうか?
このイベントをなるべく多くの方に届け、今後も継続して行っていこうと思っています。
そのため、入場無料で開催することを決めたのですが、会場費や機材の費用、広告費用など、どうしても運営費がかかります。
最初は自腹で出すつもりだったのですが、私はお金持ちではないし、運営費の捻出をどうやってするべきか、悩んでいました。
その方法の一つとして、クラウドファンディングというやり方があることも知ってはいました。
でも、当初は「人にお金を頼って何かをする」というのが本当に嫌で、クラウドファンディングについても、「自分で何とかできないの?」という考えだったので、好きではありませんでした。
しかしこのイベントは、多くの方に知ってもらう必要があります。
そのためには、人の目に触れる機会を、たくさん作らなければいけません。
そこで、クラウドファンディングという形で、発信することによって、私のコミュニティだけにとどまらず、より多くの方に、知ってもらう機会を作ることができるのではないか、と考えました。
また、キングコングの西野さんの講演に伺った時に、
「クラウドファンディングは、お金の成る木じゃない。自分の信用を元にした投資だ。もちろんプロジェクトの内容も大事だが、その人が信用されているかどうか。『あなたがやるのなら』と、信用してもらうことが大事だ」
というお話を聞いて納得がいき、もし失敗しても、これからの行動の指針になるのではないかと思い、やってみることにしました。
ただ、むちゃくちゃ怖いですよ。自分の信用が数字で表れるなんて。
だからもし、誰も投資してくれなかったら、だれか骨を拾ってくれと周りに言って回ったほどです(笑)。
始めは、なかなか思うように金額も集まらず、苦労しましたが、たくさんの方々の助言と援助を受けて、先日、ついに目標金額を達成することができました!
今は、本当に本当に、感謝しかありません。
これまで、色んなことをやってきましたが、「やってきて良かった」という思いと、「これまでの自分が目指してきたものが、間違ってはいなかったのだ」という、自信にもつながりました。
たくさんの方が応援してくださっていることに、嬉しい反面で、プレッシャーを感じることも、もちろんあります。
でも、私ひとりではなく、共感してくださる方や、同じ目線を持った仲間がいるので、仲間を信頼して任せ、一緒に作り上げていきたいと思います。
素晴らしいイベントになると、信じています。
たくさんの方に広がっていくイベントになるといいですね!最後に、活動の中で大切にされていることや伝えたいことを教えてください。
私は、人と人との、横のつながりを大切にしたいんですね。
親子であっても、縦ではなく、横のつながりとして、お互いを尊重していける関係を築いていきたいと思っています。
それぞれの命として、対等でなければいけないし、病気や障害も関係なく、心はみな同じ。
そういうことを私自身、家族や周りの方々から、教えてもらいながら活動しています。
5月のイベントを皮切りに、この先どんな風に転がっていくのかわかりませんが、色んな場所を訪れて、不登校の方のお話や、不登校の方を支援する方に、お話を聞きに伺ったりもしてみたいです。
これからも、色々なことに挑戦していき、その時、自分が何を考えるかも、楽しみです。
活動が多岐に渡ることもあり、やっていることが多く見えますが、伝えたいことはひとつで、「ただその存在を大切にしたい。」それだけです。
取材・文:Koh Yamasaki